Rikuo Ueda
ウエダ リクオ

ウエダリクオは、自分以外のアーティストのために、建て、作り、大工仕事もこなす。ウエダは、いわばデュオとして活動しているのだ。まず、色々な工具から工房まで、必要なものや条件を揃えて実行するという、ウエダ自身が担当する分野がある。そして、偶然によるドローイングという、本来の創造的な行為を担うパートナーがいる。ウエダのパートナーである芸術家は気分屋で、時には寡黙で静かで控えめで、またある時には自由奔放で荒々しい。ウエダリクオは、風を可動生のある装置に捕らえ、いわば風と提携することによって、その装置に取り付けられたペンを介してカリグラフィーのようなダイヤグラムが紙の表面に施されていく。

風は、古より人間を魅了してきた。風は悩みを吹きはらい、空気をきれいにし、澄みきった視界をもたらす。風は根源的な力として、メタファーとしても優れた特質を持っている。永遠に流れながらも、もとのままではない水と同じく、風も、永遠に変化するという資質を持ち、さらには動的な要素を有している。象徴的な、そして宇宙的な言語で言い表すとするなら、自らも揺り動かされながらも他者を動かし、永遠の恒常性の中で変化していく移ろいゆく「時」を風は表現しているのだ。ウエダリクオの作品は風のメッセージであり、気まぐれな風の性格をあらわすダイヤグラムであり、時代に吹く風に晒されている私たちの存在を象徴するものでもある。そのドローイング作品には、旧来より偶然と自然の力を大切な主題としてきた日本の伝統的なカリグラフィーにも通じるものがある。

(翻訳: 竹内仁奈子)

 

www.uedarikuo.com

 

 

Künstler Information

Presse: Art Magazin 1/2015,  Monopol Magazin Pipeline

 

 




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