それは、遠目には雪に覆われた冬の宮殿のようだ。だが、開発好明の眩しいほどに輝く巨大な彫刻に近づいていけば、その建材は発泡スチロールであることが判明する。家電などの製品を破損やキズから守るために使われた発泡スチロールの梱包材である。開発の手によって、それら梱包材は、中を歩ける神殿や茶室になったり、あるいは抽象的な彫刻になったりする。それらの建築物は、UFOのように内側から輝き、どこかしらSFのような雰囲気が漂う。「ネガティブな」意味合いも二重にある。まず、梱包材はまさに包んでいたもののネガであり、さらに、その素材と輝きが「輝く未来」の持つ両義性と不確かさをも暗示している。
そのような未来がもたらす危険をテーマとした作品がある。こちらはスチロール素材ではなく、小さな木造の家であり、福島の原発の残骸からそう遠くない、住民が避難していなくなった飯館村の付近にある。開発好明は、津波がもたらした破壊的な被害や9.11の未曾有の出来事について、ぜひこの家でしばし考えてほしい、と政治家たちに呼びかけた。開発の言葉によれば、作品は単なるオブジェではなく、新しい表現形式を模索していく上で考え出した「道具」であり、鑑賞者の誰もが直接的にアート作品として実感できるいわばソーシャルワークの手段なのだ。
(翻訳: 竹内仁奈子)
最近の展覧会
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ANOMALY グループ展(東京)9/16/- 10/10日
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六甲ミーツアート芸術散歩(兵庫)9/12-22,10/17.18,10/31-11/3
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